Libri muti magistri sunt.

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語彙と文法

「リブリー・ムーティー・マギストリー・スント」と読みます。
librīは「本」を意味する第2変化名詞liber,-brī m.の複数・主格です。
mūtīは「無口の、沈黙した」を意味する第1・第2変化形容詞 mūtus,-a,-um の男性・複数・主格です。
magistrīは「先生」を意味する第2変化名詞 magister,-trī m. の複数・主格です。
suntは「~である」を意味する不規則動詞sum,esseの直説法・現在、3人称複数です。
「書物は無口な教師である」と訳せます。

ラテン語の難しさについて

この文の解釈の模範解答は上の通りですが、ノーヒントでこの文に取り組んだ場合、形容詞mūtīをlibrīにかけるか(=librīを修飾していると解釈するか)、magistrīにかけるか、悩むところです。文法的にはどちらも正解です。

ここから先はラテン語でなく日本語の問題になります。「無口な書物は教師である」がよいか、「書物は無口な教師である」がよいか。私は後者を正解に選びましたが、前者がよいと感じる人にとってはそれが正解だと言えます。

この文は主語をlibrīとするか、magistrīとするか、二つの選択肢があります。これはラテン語の語順が自由であることからくる生じる問題です。私はlibrīを主語として説明しましたが、magistrīを主語にして訳すことも文法的には可能です(=文法に照らして間違いではない)。その場合、「無口な教師は書物である」となります。

どの訳をよしとするのかは、上で述べたいくつかの可能性を考慮に入れた上で、最終的には自分の日本語の感覚に照らして決定します。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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