「クール・アンテ・トゥバム・トレモル・オックパト・アルトゥース」と読みます。
Cūr は「なぜ」を意味する疑問副詞です。
ante は「<対格>の前に」を意味する前置詞です。
tubam はtuba,-ae f.(ラッパ)の単数・対格です。
tremor はtremor,-ōris m.(震えること、身震い、おののき)の単数・主格です。
occupat はoccupō,-āre(襲う、とらえる)の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
artūsはartus,-ūs m.(四肢、身体)の複数・対格です。
「なぜ(Cūr)ラッパ(tubam)の前に(ante)身震いが(tremor)四肢を(artūs)とらえる(occuptat)のか」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Aen.11.424)。トゥルヌスのセリフの一部で、前後の文脈は次のようなものです。
だが、われわれにはまだ力があり、無傷の青年隊もいる。
援軍となるイタリアの町々や人民も健在だ。420
一方、トロイア軍は勝利を得たが、彼らとておびただしい流血の犠牲を
伴った。戦争の嵐はすべての者を等しく襲い、彼らもたっぷり死を経験した。
であれば、なぜ戦いの入り口でぶざまに意気消沈し、
ラッパの鳴る前に戦慄が手足をとらえてやまぬのか。
長い年月をかけて苦難は移ろいゆく。多くのことが一日で 425
よいほうに変わることもある。運の女神は訪れては去っていく。再び訪ねた
多くの者をもてあそんだかと思うと、最後はまた確かな場所に置き直す。
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