Accipe daque fidem.

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「アッキペ・ダークゥェ・フィデム」と読みます。
accipeは「受け取る」を意味する第3変化動詞 accipio,-ereの命令法・能動態・現在、2人称単数です。
dāqueはdā と-queに分解できます。
dāは「与える」を意味する不規則動詞 dō,-are の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
-queは「そして」を意味します。2つの動詞 accipeとdā をつなぎます。
fidemは「信義」を意味する第5変化名詞 fidēs,-eī f.の単数・対格です。
「信義を受け取り、そして(それを)与えよ」と訳せます。
言わんとすることは互いに信義を与え合おうということになりますので、「互いに信義を交わそう」と意訳することが可能です。
ウェルギリウスの『アエネーイス』にみられる表現です(Aen.8.150)。

原文と訳(意訳)を紹介します(マクロン省略)。語り手はトロイアの英雄アエネーアース。「われわれ」はトロイア軍で、語っている相手は援軍を求める相手エウアンドルス王です。

8.146-149
gens eadem, quae te, crudeli Daunia bello
insequitur; nos si pellant nihil afore credunt
quin omnem Hesperiam penitus sua sub iuga mittant,
et mare quod supra teneant quodque adluit infra.

ダウヌスの一族が、あなたへ行うのと同じ残忍な戦いを仕掛けて
われわれを迫害している。われわれさえ追い出せば、邪魔はなくなり、
全へスペリアをくまなく己れの支配下に置くことができると信じてのこと。
北から南まで、打ち寄せる海のすべてを手に入れることをもくろんでいる。

150-151
accipe daque fidem. sunt nobis fortia bello 150
pectora, sunt animi et rebus spectata iuventus.’

今こそ互いに信義を交わしたい。わが軍には戦さにおける不屈の
魂がある。勇気と苦難を乗り越える若さがある」。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス
京都大学学術出版会

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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