Miseros prudentia prima relinquit.

  • URLをコピーしました!

「ミセロース・プルーデンティア・プリーマ・レリンクイト」と読みます。
miserosは「惨めな」を意味する第1・第2変化形容詞miser,-era,-erumの男性・複数・対格です。
この文では名詞的に用いられ、「惨めな者たちを」と訳せます。
prudentiaは「分別」を意味する第1変化女性名詞、単数・主格です。
primaは「最初の」を意味する第1・第2変化形容詞primus,-a,-umの女性・単数・主格です。prudentiaと性・数・格が一致します。
relinquitは「見捨てる」を意味する第3変化動詞relinquoの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
形容詞primaの訳し方にコツがあります。「最初の(prima)分別は(prudentia)」と(属性的に)訳すと意味がわからなくなります。「分別は(prudentia)最初の状態で(or 最初のものとして)(prima)」とします。これを「述語的に訳す」と言います。日本語らしくするには、「最初の状態で」は「最初に」とした方がよいでしょう。つまり、「副詞的に」訳すことになります。
まとめると、「惨めな者たちを分別が最初に見捨てる」と訳せます。
オウィディウスの『黒海からの手紙』に見られる言葉です(Ov.Pont.4.12.47)。

悲しみの歌・黒海からの手紙 (西洋古典叢書)
オウィディウス 木村 健治
4876981132

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

目次