「クゥァエダム・テンポラ・エーリピウントゥル・ノービース・クゥァエダム・スブドゥークントゥル・クゥァエダム・エッフルウント」と読みます。
quaedam は「或る」を意味する不定形容詞quidam,quoddam の中性・複数・主格でtemporaにかかります。
tempora は「時間」を意味する第2変化中性名詞tempusの複数・主格です。
eripiuntur は「<与格>から奪う」を意味するeripio の直説法・受動態・現在、3人称複数です。この与格は「分離の与格」と呼ばれます。
nobisは「我々」を意味するnosの与格です。
subducunturは「盗む」を意味する第3変化動詞subducoの直説法・受動態・現在、3人称複数です。
effluuntは「流れ去る」を意味する第3変化動詞 effluo の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「ある時間は我々から奪われ、盗まれ、流れ去る」と訳せます。
quaedam が英語のsomeに相当するとみなすとき、「我々から奪われたり、盗まれたり、流れ去ったりする時間がある」と訳してもよいです。
セネカの『倫理書簡集』に見られる表現です(Ep.1.1)。
セネカ哲学全集〈5〉倫理書簡集 I
兼利 琢也