探し求めるべきは

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[11] Quaerendum est quod non fiat in dies peius, cui non possit obstari. Quid hoc est? animus, sed hic rectus, bonus, magnus. Quid aliud voces hunc quam deum in corpore humano hospitantem? Hic animus tam in equitem Romanum quam in libertinum, quam in servum potest cadere. Quid est enim eques Romanus aut libertinus aut servus? nomina ex ambitione aut iniuria nata. Subsilire in caelum ex angulo licet:
「心」と言えば、セネカの含蓄に富んだ言葉を紹介しましょう。

「探し求められるべきは、日がたっても悪くならないもの、いかなる妨害もありえぬものです。それはなにか?心です。それもまっすぐで、善で、偉大な。それを君は、人間の肉体に宿った神という以外に何と名付けられますか?この心は、ローマの騎士にも、解放市民にも、奴隷にも、舞い降りることが可能です。なぜといって、「ローマの騎士」とか、「解放市民」とか、「奴隷」とか、一体これはなんですか?支配欲と不正から生まれた名称以外のなにものでもないではありませんか?どんな片隅からでも天上へ舞い上がることが可能なのです。」(31-11)(中野孝次訳、岩波書店「ローマの哲人セネカの言葉」)

ローマの哲人 セネカの言葉
中野 孝次

上の例でおわかりの通り、中野氏の訳は読んでいて小気味よく、セネカの肉声を伝えるかのようです。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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