語彙と文法
「タンタエ・モーリス・エラト・ローマーナム・コンデレ・ゲンテム」と読みます。
tantaeは「これほど大きな」を意味する第1・第2変化形容詞 tantus,-a,-um の女性・単数・属格です。
mōlisは「塊、重責、困難、苦労」を意味する第3変化名詞 mōlēs,-is f. の単数・属格です。
この属格は「性質の属格」とみなせます。ただしeratとともに述語的に用いられています。「~することはこれほど大きな苦労の性質を帯びたものであった」、すなわち「~はこれほどの大事業であった」。
eratはsumの直説法・未完了過去、3人称単数です。
Rōmānamは「ローマの」を意味する第1・第2変化形容詞 Rōmānus,-a,-um の女性・単数・対格です。
condereは「築く、興す」を意味する第3変化動詞 condō,-ere の不定法・能動態・現在です。
gentemは「氏族、民族、血統」を意味する第3変化名詞 gens,gentis f. の単数・対格です。
「ローマの民族を興すことは、これほどの大事業であった」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(1.33)。
参考図書
第1巻序歌の詳しい注釈を書きました(Kindle 出版)。
一字一句の文法と語彙の説明を詳述し、逐語訳、意訳、韻律の説明、文法のまとめ、単語集を付けてあります。