Nam vitiis nemo sine nascitur; optimus ille est, qui minimis urgetur.

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ホラーティウス

語彙と文法

「ナム・ウィティイース・ネーモー・シネ・ナスキトゥル。オプティムス・イッレ・エスト・クィー・ミニミス・ウルゲートゥル」と読みます。
nam は「というのは」を意味する接続詞です。
vitiis は「欠点」を意味する第2変化名詞 vitium,-ī n. の複数・奪格です。
nēmō は英語の nobody のように、「誰も~ない」を意味します。
sine は「<奪格>なしに」(英語の without)を意味します。
nascitur は「生まれる」を意味する形式受動態動詞 nascor,-scī の直説法・現在、3人称単数です。
ここまでを訳すと、「誰も欠点なしに生まれない」と訳せます。

セミコロン以下

optimus は「良い」という意味を持つ第1・第2変化形容詞 bonus,-a,-um の最上級 optimus, -a, -um の男性・単数・主格です。
ille は「それ」を意味する指示代名詞ille,illa,illudの男性・単数・主格で、ここでは「そのような人」と訳せます。
quī は関係代名詞quī,quae,quod の男性・単数・主格です。先行詞は ille です。
minimīs は「少ない」を意味する第1・第2変化形容詞 parvus,-a,-um の最上級、複数・奪格です。vitiīs が省略されています。「もっとも少ない欠点によって」と訳せます。
urgētur は「苦しめる、圧迫する」を意味する第2変化動詞 urgeō,-ēre の直説法・受動態・現在、3人称単数です。
後半は、「最も少ない欠点に苦しめられる者(ille)が最善である」と訳せます。
あわせると、「だれも欠点なしに生まれない。最善なのはもっとも少ない欠点に悩まされる者」と訳すことができます。
ホラーティウス、『風刺詩』に見られる言葉です。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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