文法の勉強に疲れた人へ

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ある程度文法を学んだ人で、モーティベーションが中だるみした人向けの学習法は、原典を読む、です。

翻訳を横に置いて読めばよいのですが、話はそう簡単ではありません。どこから手を付けてよいかわからない、というのがラテン語読解の一般的なリアクションです。

おすすめは、文法の問題意識を高く保つために、一字一句を「スキーピオーの夢」方式で解説してみることです。

utとかquodあたりで躓くことが多いです。構文の全体が見えてこないと適切な解説が書けないので空白になるわけです。

一方、一パラグラフの全体について、手も足も出ずに全滅かというと意外にそうではなく、スラスラ説明できるところは結構あると思います。lentē(ゆっくりと)といった副詞などがあればすごくはかどりますね。

何度読み返しても空白のまま残る個所はたしかに文法の要になる個所です。そこを意識しながらさらに原文を読み返します。じんわりと全体像が見えてきたらすばらしい。

とにもかくにも、目標は自分の手で「スキーピオーの夢」のような資料を作ることです。できないとしたら、そこに何かの知識が不足しています。

このプロセスによって、漠然とどこから手を付けていいかわからない、という状況を脱却し、自分の弱点を集中的に勉強しようという気持ちになるはずです。

ちなみに、講習会に参加している人はおわかりだと思いますが、キケローもセネカも、ほぼすべての説明が「しっかり学ぶ初級ラテン語」一冊の説明で事足ります。

私は複数の講読クラスの資料をその方針で作成して数年たちますが、語彙力アップ、読解力アップにとても有効だと実感しております。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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