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西洋古典
ヘクトルとアンドロマケ
『イーリアス』第6歌において、トロイア方の戦況は徐々に劣勢に転じます。ヘクトルはヘレノスの提案を 受け入れ、いったん城の中に戻ります。彼はアテネへの祈願を母ヘカベに託し、戦線を離れた弟パリスを叱責した後、妻子に出会います。 ヘレノスはヘクト... -
西洋古典
アキレウスの怒り
冒頭の表現に続けて、詩人はムーサに次のような問いを出します。 「そもそも二人を争わしめたのは、いかなる神であったのか。これぞレトとゼウスの子(アポロン)、神はアトレウスの子(アガメムノン)が祭司クリュセスを辱めたことを憤り、陣中に悪疫を起... -
西洋古典
『イリアス』の冒頭
『イリアス』とは、トロイアの別名「イリオスの物語」という意味です。第一巻冒頭は次のように始まります。 「怒りを歌え、女神よ、(3)ペレウスの子アキレウスの---アカイア勢(ギリシア勢)に数知れぬ苦難をもたらし、あまた勇士らの猛き魂を冥府の王... -
西洋古典
愛はすべてにうち勝つ
Omnia vincit Amor. 愛はすべてにうち勝つ 出典はウェルギリウスの『牧歌』第10歌です(Verg.Ecl.10,69)。 以下は、愛する女性リュコーリスを失ったガッルスの嘆きの言葉です。 おれは行く、そうして、昔、カルキス風に作った自分の詩に、シキリアの牧... -
西洋古典
へーローとレアンドロス
セストスへ来たならば、ヘーローが灯りをかかげた塔を探しておくれ 表題は、岩波ジュニア新書『ギリシア人ローマ人のことば―愛・希望・運命』(中務哲郎・大西英文、1986)から採りました。以下はこの言葉に関する解説です。この本は、西洋古典文学の魅力... -
西洋古典
人間のもつ技術(わざ)はすべてプロメテウスの贈り物
アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』の中に出てくる言葉です。プロメテウス(先に知る男)は天上から火を盗み、それを人間に与えたため、ゼウスに罰せられます。劇の中で、プロメテウスは、「人間どものみじめな様子」を哀れに思い、様々な技術を人... -
ラテン語格言
Non progredi est regredi.
語彙と文法 「ノーン・プローグレディー・エスト・レグレディー」と読みます。nōnは「~でない」という副詞です。次のprōgredīを否定します。prōgredīは「前進する」を意味する形式受動態動詞 prōgredior,-gredīの不定法・現在です。nōnとあわせると「前進... -
ラテン語格言
Nil admirari.
語彙と文法 「ニール・アドミーラーリー」と読みます。nīlは「無」を意味する不変化名詞、単数・対格で、admīrārī の目的語です。nīl はnihil の別形です。admīrārī は形式受動態動詞 admīror,-ārī(驚く)の不定法・現在です。直訳は「無を驚くこと」とな... -
ラテン語格言
Quid ago? わたしは何をしているのか
語彙と文法 「クゥィド・アゴー」と読みます。quidは「誰、何」を意味する疑問代名詞 quis,quidの中性・単数・対格です。agoは「行う」を意味する第3変化動詞ago,-ereの直説法・能動態・現在、1人称単数です。quidを目的語に取ります。「私は何をしている...