「一般」という言葉

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「一般」という言葉

「一般教育」といった場合の「一般」に込められたニュアンスはどんなものでしょうか。

『野生の思考』(レヴィー・ストロース)を翻訳された故大橋保夫先生は、フランス語の「ジェネラル」 という語について、「物が生まれる」というニュアンスがあると講義中に話されたことを思い出します。(「一般言語学」というネーミングについての話だったかも。)

語源はラテン語のgenus。genusには「種族」等の意味がありますが、この語はギリシア語のゲノス(race, descent)に由来し、さらには「生まれる、生ずる」を意味するギグノマイと関連します。

また「遺伝子」をgene、遺伝学をgeneticsといいますが、これらも語源はgenusです。gender(性)、generate(生み出す)も同様です。

大学の「一般教育」という語の本来の意味は、様々な研究成果を生み出す基礎的教養、というニュアンスであったろうと思われます。間違っても「パンキョー」と発音しては、オリジナルの意義を理解することは不可能でしょう(笑)。 もっとも、昨今の国立大学においては、「パンキョー」という語すら死語となりましたね。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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