「一般」という言葉
「一般教育」といった場合の「一般」に込められたニュアンスはどんなものでしょうか。
『野生の思考』(レヴィー・ストロース)を翻訳された故大橋保夫先生は、フランス語の「ジェネラル」 という語について、「物が生まれる」というニュアンスがあると講義中に話されたことを思い出します。(「一般言語学」というネーミングについての話だったかも。)
語源はラテン語のgenus。genusには「種族」等の意味がありますが、この語はギリシア語のゲノス(race, descent)に由来し、さらには「生まれる、生ずる」を意味するギグノマイと関連します。
また「遺伝子」をgene、遺伝学をgeneticsといいますが、これらも語源はgenusです。gender(性)、generate(生み出す)も同様です。
大学の「一般教育」という語の本来の意味は、様々な研究成果を生み出す基礎的教養、というニュアンスであったろうと思われます。間違っても「パンキョー」と発音しては、オリジナルの意義を理解することは不可能でしょう(笑)。 もっとも、昨今の国立大学においては、「パンキョー」という語すら死語となりましたね。