Tantum religio potuit suadere malorum.

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「タントゥム・レリギオー・ポトゥイト・スアーデーレ・マロールム」と読みます。
tantumは「これだけ多くのもの(量)」を意味する第2変化名詞 tantum,-i n.の単数・対格です。suadereの目的語です。
religioは「宗教、迷信」を意味する第3変化名詞 religio,-onis f.の単数・主格です。
potuitは「<不定法>が可能である」を意味するpossum,posseの直説法・完了、3人称単数です。
suadereは「助言する、勧める」を意味する第2変化動詞 suadeoの不定法・現在です。
malorumは「悪行」を意味する第2変化名詞 malum,-i n.の複数・属格です。tantumにかかります。
「宗教は(religio)悪事の(malorum)これだけ多くの量を(tantum)勧めること(suadere)が可能であった(potuit)」と訳せます。
「宗教にはこれだけ多くの悪行をそそのかす力があった」という意味です。
ルクレーティウスの言葉です(Lucr.1.101)。
ここでいわれる「宗教」は「迷信」に近い意味で用いられています。また「悪事」の例として「アウリスのイピゲネイア」のエピソードが紹介されています。

物の本質について (岩波文庫 青 605-1)
ルクレーティウス 樋口 勝彦
4003360516

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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