「エト・ウェンティース・エト・フルミニス・オーキオル・アーリース」と読みます。
et A et Bで「AもBも」を意味します。
この文のAとBはそれぞれ名詞の奪格で、Aはventīs、Bはālīsとみなせます。
ventīsは「風」を意味する第2変化名詞ventus,-ī m.の複数・奪格。ālīsは「翼」を意味する第1変化名詞āla,-ae f.の同じく複数・奪格です。これらの奪格は「比較の奪格」となります。「~よりも」と訳します。
fulminisは「雷電」を意味する第3変化名詞fulmen,-minis n.の単数・属格で、ālīsにかかります。「雷電の翼よりも」と訳します。
ōciorは形容詞の比較級で「より速い」を意味します。主語は3人称単数の男性名詞で、文脈から拾うと、徒競走で1位でゴールに迫るニーススです。
「彼(ニースス)は風や雷電の翼よりも速い」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(5.319)。
ニーススが1位でゴールに迫っています。その描写です。2位がサリウス、3位がエウリュアルス。さて、この続きはどうなるのでしょうか。
ニーススの不運。エウリュアルスとの友情(愛)。そして二人の運命の結末はいかに?
詩人ウェルギリウスはニースストエウリュアルスのことを、別の箇所でfortunātī ambō! (幸福な二人よ)と呼びかけます(9.446)。どうして二人は「幸福な」と形容されるのか、この作品の読みどころの1つです。
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