cūjus の発音は?
母音にはさまれた子音的な i(j)は、古典期には重ねて発音されたと考えられています。
たとえば maior は、綴りの上では i が一つですが、発音上は maiior に近く、「マイヨル」と発音します。
研究社『羅和辞典』では mājor と表記されています。ただし、この ā は「マー」と長く発音するという意味ではありません。a そのものは短母音ですが、後続する子音的 i(j)が重子音的に発音されるため、mai- の音節全体が長くなることを便宜的に示した表記です。
したがって、
mājor マイヨル
となります。
同様に、
cūjus クイユス
です。「クーユス」とは発音しません。
cuius は、発音上 cuiius に近く、最初の i は前の u と結びつき、次の i は子音的な j として働くと考えるとわかりやすいでしょう。
ではクエスチョン。
1)pējor の発音は?
答えは、
「ペイヨル」(pei-jor)
です。
2)Pompējus の発音は?
答えは、
「ポンペイユス」(Pompei-jus)
です。
3)Trōja は?
答えは、
「トロイヤ」(Troi-ja)
です。
4)ējus は?
答えは、
「エイユス」(ei-jus)
です。
このような語では、古典期の綴りにも ii と二重に書いた例があり、maior を maiior、cuius を cuiius のように発音していたことを裏づける資料があります。
なお、ここで注意したいのは、マクロンが常に同じ意味を持つわけではないということです。
たとえば、
mājor マイヨル
cūjus クイユス
では、マクロンは前の音節が長いことを便宜的に示しています。
一方、
Gāius ガーイウス
の ā は本来の長母音です。
したがって、Gāius を「ガイユス」と読むのではなく、「ガーイウス」と発音します。
研究社『羅和辞典』は、mājor, cūjus, pējor, Trōja, ējus などについて、以上の発音上の特徴をマクロンを用いて示しています。
翻訳では「ポンペイウス」「トロイア」といった表記が一般的です。これは発音を一字一字写したものではなく、日本語における伝統的・慣用的な表記ですので、間違いというわけではありません。
上で述べたことは、『しっかり学ぶ初級ラテン語』p.12でも説明しています。