Q. 最上級が-rimus,-a,-umで終わるケース

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『アエネーイスを読んでいて asperrima(もっとも残忍な)という綴りを見ました。なぜ-issimaで終わらないのですか。

asper(残忍な)のように、-erで終わる形容詞の最上級は、単数・属格の語尾から第1・第2変化形容詞は-īを、第3変化形容詞は-isをとったうえ、-issimus,-a,-umでなく、-rimus,-a,-umを加えます。

例として、ācer(鋭い)はācerrimus,-a,-um、celer(早い)はcelerrimus,-a,-um、līber(自由な)はlīberrimus,-a,-umとなります。

ご質問のasperrimaは『アエネーイス』第1巻14行目に見つかります。カルターゴー(Karthāgō)を形容する語です。当時世界一残忍な都市国家であったという意味であれば「相対的」最上級と理解できますが、他にも残忍な都市国家はいくつもあったと考えられる場合、「きわめて残忍な」と訳します。これはasperrimaを「絶対的」最上級と理解する例です。

文法の教科書

しっかり学ぶ初級ラテン語

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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