西洋古典– category –
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噂の女神
『アエネーイス』第4巻に「噂」の女神が登場します。famaは「噂」を意味する一般名詞ですが、173行目を見るとFamaと大文字で使われています。これは女神として扱われている例です。ただし「害悪」(174 malum)とも「恐ろしい怪物」(181 monstrum horrend... -
ディードーの死(4.693-705)
ディードーの死(4.693-705) Tum Iuno omnipotens longum miserata dolorem difficilisque obitus Irim demisit Olympo quae luctantem animam nexosque resolveret artus. 695 nam quia nec fato merita nec morte peribat, sed misera ante diem subito... -
マルティアーリスの「今日生きよ」
今日生きよ(1.15.11-12) nōn est, crēde mihī, sapientis dīcere ‘Vīvam’; sēra nimis vīta est crastina, vīve hodiē. わたしを信じたまえ、「こう生きよう」と口にするのは賢者にふさわしくない。 明日の生活はあまりに遠い先にある。今日生きよ。 <... -
『農耕詩』のスプラギス(4.559-566)
ウェルギリウスの『農耕詩』は次の8行で締めくくられています。一般にスプラギス(印章、自分が作者だと知らせるサインのようなもの)と呼ばれる箇所です。 Haec super arvorum cultu pecorumque canebam et super arboribus, Caesar dum magnus ad altum ... -
妻との別れ:オウィディウスの『悲しみの歌』を読む
妻との別れ:オウィディウスの『悲しみの歌』を読む Ⅰ Cum subit illīus tristissima noctis imāgō, quae mihi suprēmum tempus in urbe fuit, cum repetō noctem, quā tot mihi cāra relīquī, lābitur ex oculīs nunc quoque gutta meīs. Tri.1.3.1-4 <... -
Labor omnia vicit.
「ラボル・オムニア・ウィーキト」と読みます。 laborはlabor,-ōris m.(労働)の単数・主格で、文の主語です。 omniaは第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・複数・対格で、vīcit の目的語です。この文では名詞的に用いられ、「すべてを」を意味しま... -
Carmina non dant panem.
「カルミナ・ノーン・ダント・パーネム」と読みます。 carminaは「歌」を意味する第3変化中性名詞carmen,-minis n. の複数・主格です。 dantは「与える」を意味する不規則動詞dō,dare の直説法・能動態・現在、3人称複数です。 pānem は「パン」を意味する... -
ともに生き、ともに愛し合おう:カトゥッルス
ラテン語に次のような景気のよい表現があります(作者不明)。 Ede, bibe, lude, post mortem nulla voluptas. 食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし ローマの恋愛詩人カトゥルス(カトゥッルス)がこのモチーフを使って有名な詩を残しています。いわく... -
Ad utrumque casum paratus.
「アド・ウトルムクゥェ・カースム・パラートゥス」と読みます。 adは「<対格>に対して」を意味する前置詞です。 utrumqueは「2人、2つのうちのどちらも」を意味する代名詞的形容詞uterque,utraque,utrumqueの男性・単数・対格です。 cāsumは「状況」を... -
人生を生きるということ:キケロー、ウェルギリウス、ホラーティウス
Conscientia bene actae vitae jucundissima est. 立派に生きた人生の自覚はもっともすばらしいものだ。 これは、キケローの『老年について』(De senectute)に見られる言葉です。 平たく言えば、死ぬときに、自らの人生を振り返り、「ああいい人生だっ...