西洋古典– category –
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『ラテン詩への誘い』(国原吉之助著)
ラテン詩を読んで味わうには韻律を正しく分析する必要があります。大学書林から出ている表題の本は日本語で読める一番詳しい本だと思います。 ラテン詩への誘い國原 吉之助 この本はカナ表記も用いながらラテン語の詩の読み方を懇切丁寧に説明しているので... -
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『牧歌』第1歌(試訳)
「土地没収」 メリボエウス ティーテュルスよ、おまえは枝を広げたぶなの木の覆いの下に横たわりながら 、ほっそりした牧人の笛で森の調べを吹こうと懸命だ。このわしは愛する土地 を去り、祖国の国境を越えようというのに。それもこれも祖国から逃れるた... -
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はかなきは人の世の営み
『ギリシア人・ローマ人のことば』(岩波ジュニア新書、中務哲郎・大西英文著)の中に、 「はかなきは人の世の営み、悲運は涙さそいて、胸をうつ」(『アエネーイス』)という言葉が紹介されています。 原文は、sunt lacrimae rerum et mentem mortalia ta... -
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愛されたいなら、愛しなさい:セネカ
Sī vīs amārī, amā. 愛されたいなら、愛しなさい セネカの言葉です(「倫理書簡集」9.6。文法の説明はこちら)。Sī (もしも)をとった形、Vīs amārī? Amā. でも知られます。この場合、「愛されたいか。では愛せ」となります。 amārī は不定法で「愛される... -
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無為の時を求めて:ウェルギリウス『アエネーイス』
第4巻におけるディードーのセリフです。 quo ruit? extremum hoc miserae det munus amanti: 429 exspectet facilemque fugam uentosque ferentis. 430 彼はどこに向かって走るのか。これを最後の贈り物として哀れな恋人に授けてくれ。 追い風を受けてたや... -
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探し求めるべきは
[11] Quaerendum est quod non fiat in dies peius, cui non possit obstari. Quid hoc est? animus, sed hic rectus, bonus, magnus. Quid aliud voces hunc quam deum in corpore humano hospitantem? Hic animus tam in equitem Romanum quam in libert... -
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ネポース『英雄伝』について
1.生涯 概説 コルネリウス・ネポスの生涯についてあまり詳しいことは知られていない。大プリニウスによれば「パドゥス川(現ポー川)のほとりに住む人」と言われ(『博物誌』3.127)、北イタリアのティキヌム(現在のパヴィア)あたりの出身と推定されて... -
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Nudi enim sunt, recti et venusti, omni ornatu orationis tamquam veste detracta.
Cicero 「ヌーディー・エニム・スント・レクティー・エト・ウェヌスティー・オムニー・オルナートゥー・オーラーティオーニス・タムクァム・ウェステ・デートラクター」と読みます。nūdī は「裸の」を意味する第1・第2変化形容詞、nūdus, -a, -um の男性・複... -
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カエサルの文体
キケローは、カエサルの『ガリア戦記』について、その文体を賞賛し(厳密には作中の人物に語らせる形で)「衣服を脱いだ裸体のごとく、あらゆる修辞的装飾を捨て、まっすぐで優美」(nudi enim sunt, recti et venusti, omni ornatu orationis tamquam vest...