表題は『ギリシア・ローマ名言集』(ローマの部11番)に収められています。ホラーティウスの『詩集』(2.16.29)に見られる言葉です。次の二行(29-30)をご覧ください。一字一句分析して読んでみましょう。
abstulit clārum cita mors Achillem,
longa Tīthōnum minuit senectūs.
語彙と文法
abstulit: auferō,-ferre(奪う)の直説法・能動態・完了、3人称単数。
clārum: 第1・第2変化形容詞clārus,-a,-um(明るい、輝かしい)の男性・単数・対格。Achillemにかかる。
cita: 第1・第2変化形容詞citus,-a,-um(早い)の女性・単数・主格。morsにかかる。
mors: mors,mortis f.(死)の単数・主格。
Achillem: Achilles,-is m.(アキッレス)の単数・対格。
longa: 第1・第2変化形容詞longus,-a,-um(長い)の女性・単数・主格。senectūsにかかる。
Tīthōnum: Tīthōnus,-ī m.(ティートーヌス)の単数・対格。
minuit: minuō,-ere(小さくする)の直説法・能動態・現在(または完了)、3人称単数。abstulitと並列的に用いられているとみなし、完了ととる。
senectūs: senectūs,-ūtis f.(老年)の単数・主格。
<逐語訳>
早い(cita)死が(mors)輝かしい(clārum)アキレウスを(Achillem)奪った(abstulit)。
長い(longa)老年が(senectūs)ティートーヌスを(Tīthōnum)小さくした(minuit)。
和訳
『ギリシア・ローマ名言集』の柳沼訳は次の通りです。
早い死が輝かしいアキレウスを奪い、長い老年がティトノスを憔悴させた。
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