早い死がアキレウスを奪った:ホラティウス『詩集』2.16より

  • URLをコピーしました!
ギリシア・ローマ名言集

表題は『ギリシア・ローマ名言集』(ローマの部11番)に収められています。ホラーティウスの『詩集』(2.16.29)に見られる言葉です。次の二行(29-30)をご覧ください。一字一句分析して読んでみましょう。

abstulit clārum cita mors Achillem,
longa Tīthōnum minuit senectūs.

語彙と文法

abstulit: auferō,-ferre(奪う)の直説法・能動態・完了、3人称単数。
clārum: 第1・第2変化形容詞clārus,-a,-um(明るい、輝かしい)の男性・単数・対格。Achillemにかかる。
cita: 第1・第2変化形容詞citus,-a,-um(早い)の女性・単数・主格。morsにかかる。
mors: mors,mortis f.(死)の単数・主格。
Achillem: Achilles,-is m.(アキッレス)の単数・対格。

longa: 第1・第2変化形容詞longus,-a,-um(長い)の女性・単数・主格。senectūsにかかる。
Tīthōnum: Tīthōnus,-ī m.(ティートーヌス)の単数・対格。
minuit: minuō,-ere(小さくする)の直説法・能動態・現在(または完了)、3人称単数。abstulitと並列的に用いられているとみなし、完了ととる。
senectūs: senectūs,-ūtis f.(老年)の単数・主格。

<逐語訳>
早い(cita)死が(mors)輝かしい(clārum)アキレウスを(Achillem)奪った(abstulit)。
長い(longa)老年が(senectūs)ティートーヌスを(Tīthōnum)小さくした(minuit)。

和訳

『ギリシア・ローマ名言集』の柳沼訳は次の通りです。

早い死が輝かしいアキレウスを奪い、長い老年がティトノスを憔悴させた。

ギリシア・ローマ名言集

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

コメント

コメントする

目次