カルタゴ人の都づくり:ウェルギリウス『アエネーイス』

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Aen.1.423-436

建設中のカルタゴを眺める主人公。その目に映った都の様子は以下のように描かれています。

Instant ardentes Tyrii pars ducere muros,
molirique arcem et manibus subvolvere saxa,
pars optare locum tecto et concludere sulco. 425
[Iura magistratusque legunt sanctumque senatum;]
hic portus alii effodiunt; hic alta theatris
fundamenta locant alii, immanisque columnas
rupibus excidunt, scaenis decora alta futuris.

テュロス人たちは熱心に仕事に取り組んでいた。ある者は城壁を拡張し、
砦をつくるため、岩を手で転がしている。
ある者は住居のための土地を選び、境目を溝で囲んでいる。
ここでは法が定められ、行政官と神聖な元老院議員が選ばれている。
こちらで港を掘る者たちもいれば、あちらで劇場の基礎を
地中深くに据える者たちもいた。彼らは巨大な柱を
岩山から切り出し、舞台用の装飾物とする。

Qualis apes aestate nova per florea rura 430
exercet sub sole labor, cum gentis adultos
educunt fetus, aut cum liquentia mella
stipant et dulci distendunt nectare cellas,
aut onera accipiunt venientum, aut agmine facto
ignavom fucos pecus a praesepibus arcent: 435
fervet opus, redolentque thymo fragrantia mella.

さながら初夏の太陽の下で、花咲く田園での労働が
蜜蜂を鍛えるように。彼らは一族の成長した
若者たちを巣の外に連れ出し、滴る蜜を
詰め込み、甘いネクタルで巣の部屋を一杯にする。
巣に戻る蜂から荷物を受け取る者たち、隊列をなして、
怠惰な雄蜂の群れを巣の中に入れない者たちもいる。
作業は白熱し、香りたつ蜜はタイムの芳香を放っている。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男
4876981264

ウェルギリウス

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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