「これからの時代は英語だ」といわれ当惑している学生へ

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1995年に書いた原稿より

■ A君,たびたびどうも.つづきです.わたしも英会話はどちらかといえば苦痛です.受験英語は昔も今もきらいです.「受け身」ってやつがいやなんです.「自分はこう思う!」というのがやりたいんです.黒板をみんなでシコシコ写すのがいやな性分ですが,君はいかがですか?

セールスマンに「これからの時代は英語だ」といわれ、当惑しているお気持ち,よくわかります.でも,試験に合格した奴は偉くって,低い点の奴は勉強不足ってホントにそうかなあ?高得点は就職に有利なのかな?企業がみるのは,そんなところかな~?いえいえ,企業は馬鹿ではありません.君の個性をたちどころに見抜きます.依存症か,自己責任で生きている男かってことくらい,大人の目にはいっぺんでわかるものです.それが見抜けない会社なら,君は行かなくていいわけです.

卑近な例では,君はネットワーカーになりたいですか?インターネットでホームページをもちたいですか?こういったことも大切なチェックポイントではないかと思いますよ.「お先にどうぞ,ぼくは関係な~い」と言ってる人が,英語となるとばりばり話し出す...というのもあるかもしれませんが,私の経験では,チャレンジ精神が旺盛な人間ほど英語で外国人とコミュニケーションすることを楽しみます.

何事であれ,人生を肯定しエンジョイする人間性,人権を尊び,それを蔑ろにする動きには断固立ち向かう精神力...こういったものが外国では(日本とは異なり)重視される...というのが私の今までの観察です.そういったことをふまえて,英会話の教室に通うとか,英会話のテープを買うとか,手段の問題に話が移ると思います.

まずは,自分のできることがなにで,なにができないことか,なにを実現したいことで,なにはどうでもいいことか...このあたりをチェックされたらいかがでしょう.自己変革(大げさな言葉ですが)は身近なところから始められます.それは,なにより世の中の常識に対して「疑問」をもつことではないでしょうか.

世の中が言ってること(セールスマンがいってることも,私のアドバイスもですよ!)の正反対を想定するといろんなことが見えてきます.そうして自信がつくし,人間の自信は顔つき,言葉に現れます.そういった自信は他力本願(教材,資格,学歴に頼ることも含む)では身に付きません.なによりも,君は自分が世界に一人しか居ないことのすばらしさを味わって下さい.ということの意味は,自分の頭でものごとを説明できるように,身近なモノから物事を問うクセを付けたらいかがでしょう?だって英語を話していたら,しょっちゅうWHY?って聞かれますよ.いい英語の文章を書くためには,読み手のWHYを想定し、それに対してきちっと答えている文章だと思います.ということで、今日の私の文章のまとめは次の言葉です.

—–「知らない」自分を責めるより,「知りたい」自分をみつけよう—-

▲ 山下先生こんにちは。本当に英語ってすごい力をもっていますね。はじめは、 英語=進学のためのカンモンと考えていました。中、高の授業のときも、英語が 心からおもしろいとおもったことはありませんでした。

ただ、先生のいったとう りのこと(文法、構文、etc…..)をやるだけで、何か学校の指揮下に押え付け られてるみたいで、もどかしさえ覚えました。(だから英語の点数が悪い言いわけにきこえるかもしれないが…..)。そんななかで、点数がよかったあ!といっ ていた自分も情けないです。点数がよくても英語が話せなかったり、外国人=恐 怖とおもっているんだから。僕の友達にも英会話習うよ!ってやつがいます。ほ かの皆さんはどう思っているのでしょうか。一度先生の授業のなかで話してみて もおもしろいかも…..。

やはり日本人ってshyな、group行動の種族なのかなあ。 別に金八先生のような授業を望んでいるわけではありません。でもこれからの国 際化の時代のように、多少なりとも英語の見方をかえていってほしいとおもいま す。っていうか、僕たちがしなければならないことですよね。そうしないと、僕 と同じ意見をもった奴が増えて、外国への偏見がとれないでしょう。

■ 山下です.お返事をどうも.これからは,英会話も大切ですが,まずは自分の考えを日本語で自由に表現するスキルを身につけることです.それには,書物とともにネットワーカーの交わすいろいろな意見をよく読むことです.コンピュータを扱うスキル(ネットワークに参加する程度)を身につけねばなりません.次に自分の考えを英語で表現するスキル(とくに書く力)を身につけることです.会話は(日本語も英語も)さしさわりのない内容でごまかせますが,自分の考えを発表するとなると,話はちがいます.まずは,身近なことを普段から英語に直すとどうなるか?と考えてみたり,メモ帳に思いつきを英語で書いてみたり...そう,今わたしたちが授業でやっていることを,家でもやってみればいいんじゃないでしょうか?また,いろいろ素朴な疑問がわいたら(わくでしょう)遠慮せず,メール下さい.

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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