西洋古典– category –
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セネカ『倫理書簡集』1.1を読む:人生はこぼれ落ちる
セネカの『倫理書簡集』 [1] (1) Ita fac, mī Lūcīlī: (2) vindicā tē tibi, et tempus quod adhūc aut auferēbātur aut subripiēbātur aut excidēbat collige et servā. (3) Persuādē tibi hoc sīc esse ut scrībō: quaedam tempora ēripiuntur nōbīs, qu... -
『トゥスクルム荘対談』冒頭:哲学をラテン語で語る意義について
M. TVLLI CICERONIS TVSCVLANARVM DISPVTATIONVM LIBER PRIMVS 哲学をラテン語で語る意義について 1 Cum dēfensiōnum labōribus senātōriīsque mūneribus aut omnīnō aut magnā ex parte essem aliquandō līberātus, cum: 「~なので 」。接続法を伴い「... -
文学万歳!| キケロー『アルキアース弁護』より
キケローの『アルキアース弁護』に次のような印象深い表現があります。言ってみれば「文学万歳!」と主張している一文です(16節)。 以下、テクストと和訳、語釈、逐語訳を3つに分けて紹介します(その1~その3)。 キケロー『アルキアース弁護』16節... -
キケローについて:Marcus Tullius Cicero
キケロー(BC106-43) 古代ローマの政治家にして哲学者であったキケロー(前106-前43)は、「西欧の源流に聳え立つ『知』の巨人」(岩波書店の「キケロー選集」PR文)と評されるように、とりわけルネッサンス以降のヨーロッパ的教養(フーマニタースの思想... -
ウェルギリウスについて
ウェルギリウス Publius Vergilius Maro: BC 70-19 ローマを代表する詩人といえば誰もがウェルギリウスの名を一番にあげるでしょう。作品として『牧歌』(BC38-37頃)、『農耕詩』(BC29)、『アエネーイス』(BC19)の3つがあり、それぞれギリシア文学に... -
誰も死ぬまでは幸福ではない
誰も死ぬまでは幸福ではない この言葉はヘロドトス『歴史』第一巻32に見られるソロンの言葉です。さっそく文脈を紹介しましょう。 リュディア王アリュアッテスの死後、その子クロイソスが35歳で王位を継いだ。彼はアテナイの賢者ソロンに世界でもっと... -
『農耕詩』における多様性のテーマ
『農耕詩』における多様性のテーマ 『牧歌』第四歌では、大地の自発性が新しいヘシオドス的黄金時代の特徴として示され、「すべての土地はすべてのものを生むだろう」(39 omnis feret omnia tellus)と言われています。他方、『農耕詩』ではこれとは対照... -
『農耕詩』1.231-258
『農耕詩』1.231-258 Idcirco certis dimensum partibus orbem per duodena regit mundi sol aureus astra. それゆえ、一定の部分によって測り分けられた天球を 黄金の太陽が宇宙の一二の星座をめぐりながら支配する。 quinque tenent caelum zonae: quaru... -
『農耕詩』第1巻序歌(訳)
『農耕詩』第1巻序歌(訳) 1.1-23Quid faciat laetas segetes, quo sidere terramuertere, Maecenas, ulmisque adiungere uitisconueniat, quae cura boum, qui cultus habendosit pecori, apibus quanta experientia parcis,hinc canere incipiam. uos,...