西洋古典– category –
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西洋古典
オウィディウスの『悲しみの歌』
ヘクトルの誉れ Hectora quis nosset, si felix Troja fuisset? publica virtuti per mala facta via est. 誰がヘクトルのことを知っただろう?もしトロイアが幸福であったなら。 公の不幸を通して勇気に道が築かれた。 1行目 「誰が(quis)ヘクトルのこ... -
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「死はなにものでもない」─キケロー『老年について』(66節)
キケロー『老年について』(66節) キケローは『老年について』(De Senectute)の中で大カトー(老人の鑑として登場)に次のように語らせています。(66節) Avaritia vero senilis quid sibi velit, non intellego;老人の貪欲さが何を自らに求めているか... -
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「噂」と嫉妬~ウェルギリウス『アエネーイス』より
「噂」と嫉妬 ウェルギリウスの『アエネーイス』第4巻では「噂」(Fama)と呼ばれる女神の正体が次のように生々しく語られています。 4.178-218 illam Terra parens ira inritata deorumextremam, ut perhibent, Coeo Enceladoque sororemprogenuit pedibu... -
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トゥルヌスの死
ローマ建国者アエネアスと対立するトゥルヌスの一騎打ちの結果、アエネアスが勝利を収めます。以下はその最後の場面です。 アエネアスは敵(トゥルヌス)に迫ると、大木のような槍を振り回し、たけり狂った心でこう叫ぶ。「これ以上何をぐずぐずするのだ。... -
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ニーススとエウリュアルス
『アエネイス』第9巻(訳) 420 残忍なウォルケンスは荒れ狂う。が、槍を投げた男の姿を認めることができず、怒りに燃えながらもどこに突進すべきかがわからなかった。「それでは、おまえ(=エウリュアルス)の熱い血で二人(スルモとタグス)を殺した罪... -
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人の世の営みに対する涙
『アエネイス』第6巻の冒頭で,主人公アエネアスはシビュッラ(巫女)の予言を求めてアポロの神殿に赴きます.詩人はここでいったん物語の進行を中断し,この神殿にまつわる縁起物語を紹介していきます.すなわち,噂によるとダエダルスはミノスの王国を... -
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今の苦しみを思い出して喜べる日も訪れる
『アエネーイス』第一巻の冒頭に見られる言葉です。主人公は未知の土地(カルターゴー)に漂着したとき,心中不安と希望が交錯しますが、表題の言葉を含む激励を部下に与えます。 「おお、仲間の者たちよ(我々はかつて様々の苦難を知らぬわけではない)、... -
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戦争と一人の英雄
ローマの詩人ウェルギリウスは、叙事詩『アエネーイス』(アエネーアースの物語)をかきました。アエネーアースはトロイアの王子でしたが、ギリシア軍との戦いに敗れ(これがトロイア戦争で、ホメーロスが『イーリアス』の中で描いています)、祖国を脱出... -
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『アエネイス』第1巻から4巻までの流れ
第1巻:カルターゴーに漂着したアエネーアース(トロイアの王子)とその仲間は,ディードー(カルターゴーの女王)に温かく迎えられます.夫シュカエウスを兄に殺され(このエピソードはシェイクスピアの『ハムレット』を連想させます)、兄の手を逃れて...