ナンバーはどうしてNO.か?(2)

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ナンバーはどうしてNO.か?(2)

英語で「数」といえば、number であり、省略語はふつう No. とかく。つまり、Nu. ではない。これはなぜだろうか。

実は、No. とはラテン語の numerō(ヌメロー)の省略形である。

「数」を意味するラテン語は numerus(ヌメルス)であるが、それが奪格(だっかく)・単数と呼ばれる形に変化すると、numerō(ヌメロー)となる。

この形を英語で直訳すると、in number となる。

たとえば英語で40を意味する場合、forty in numberという表現を用いるが、この in number の部分が、ラテン語 numerō に対応する。

いま簡単にふれたように、ラテン語は語尾変化で語と語の関係を表す。

たとえば単数形の場合、次のように変化する。

(主格)numerus(数は)、(属格)numerī(数の)、(対格)numerum(数を)、(与格)numerō(数に)、(奪格)numerō(数によって / 数において)

すなわち、numerō の省略語を作る際、語のはじめとおわりの二文字を使うことで、格変化の区別に配慮していることになる。

P.S.
上の説明において、numerōの語末のōは便宜的にマクロン(長母音の印)をつけた形となっているが、実際のラテン語のテクストにこの記号は現れない。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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