キケローについて：Marcus Tullius Cicero

キケロー(BC106-43)

古代ローマの政治家にして哲学者であったキケロー（前106－前43）は、「西欧の源流に聳え立つ『知』の巨人」（岩波書店の「キケロー選集」PR文）と評されるように、とりわけルネッサンス以降のヨーロッパ的教養（フーマニタースの思想）の形成に大きな影響を与えました。

キケローの名言・名句50選

1	Accipere quam facere injuriam praestat.	不正を行うより（不正を）受けることの方が望ましい
2	Amicitiae nostrae memoriam spero sempiternam fore.	私たちの友情の記憶が永遠でありますように。
3	Beati aevo sempiterno fruantur.	幸福な者たちは永遠の生を享受する
4	Cedant arma togae.	武器はトガに譲るべし。
5	Consuetudo quasi altera natura.	習慣は第二の天性なり。
6	Consuetudo quasi altera natura.	習慣は第二の天性のようなもの。
7	Cultura animi philosophia est.	哲学は精神を耕すこと。
8	Cum tacent, clamant.	彼らは沈黙しているが叫んでいる。
9	Domina omnium et regina ratio est.	理性は万物の女主人であり女王である。
10	Epistula enim non erubescit.	手紙は赤くならないから。
11	Est pabulum animorum contemplatio naturae.	自然の熟考は精神の栄養である
12	Est res publica res populi.	国家とは国民のものである。
13	Excitabat fluctus in simpulo.	杓子の中の嵐。
14	Fortuna amicos conciliat, inopia amicos probat.	順境は友を与え、欠乏は友を試す
15	Hannibal erat ad portas.	ハンニバルが門にいた。
16	Honos alit artes.	名誉は学問・芸術を養う
17	Imago est animi vultus.	顔は心の似姿である
18	In virtute divitiae.	美徳の中に富がある。
19	Ipse dixit.	子曰わく
20	Ira initium insaniae est.	怒りは狂気の始まり。
21	Jucunda memoria est praeteritorum malorum.	過ぎ去った苦しみの思い出は快い
22	Justitiam cole et pietatem.	正義と義務を重んじよ
23	Legum omnes servi sumus ut liberi esse possimus.	我々は皆、自由であり得るために法律の奴隷となる。
24	Liberae sunt nostrae cogitationes.	我々の思考は自由である。
25	Magna est vis consuetudinis.	習慣の力は大きい。
26	Male parta male dilabuntur.	悪く手に入れたものは悪く逃げる。
27	Mea mihi conscientia pluris est quam omnium sermo.	私の良心は自分にとって万人の言葉以上に尊い
28	Nihil difficile amanti.	恋する者に困難なし。
29	Nisi in bonis amicitia esse non potest.	善人以外の人間のあいだに友情は存在しえない
30	Non cani nec rugae repente auctoritatem arripere possunt.	白髪も皺も突然権威を掴み取ることはできない。
31	Non nobis solum nati sumus.	私たちは自分たちだけのために生まれたのではない
32	Non sibi, sed patriae.	自分のためにでなく、祖国のために
33	O tempora! O mores!	おお時代よ、おお風習よ。
34	Omnia mecum porto mea.	私は全財産を自分と一緒に運んでいる。
35	Omnium rerum principia parva sunt.	すべての物事の始まりは小さい。
36	Otium cum dignitate.	名誉ある閑暇。
37	Patria est communis omnium parens.	祖国は万人に共通の親である。
38	Pietas fundamentum est omnium virtutum.	敬虔はすべての美徳の基礎である
39	Populi Romani est propria libertas.	自由はローマ国民固有のものである
40	Quando denique nihil ages?	結局あなたはいつ何もしなくなるのか。
41	Ratio quasi quaedam lux lumenque vitae.	理性はいわば人生の何か光のようなもの、燈明のようなものである
42	Res loquitur ipsa.	事実そのものが語る。
43	Salus populi suprema lex esto.	国民の安全が至高の法律であるようにせよ
44	Sapiens nihil opinatur, numquam irascitur.	賢者は何も憶測せず、けっして怒ることはない
45	Sine justitia nihil valebit prudentia.	知恵は正義なしには力を発揮できないだろう。
46	Studium semper adsit, cunctatio absit.	熱意は常にあるべし。逡巡あるべからず
47	Tempus est quaedam pars aeternitatis.	時間は永遠の一部である。
48	Varietas delectat.	いろいろあるから面白い。
49	Veri amici rari.	真の友はまれ。
50	Vivere est cogitare.	生きることは考えることである。

キケローのラテン語

キケローのラテン語はラテン語散文のお手本とされます。以下はもう少しまとまった分量のラテン語を紹介し、文法事項を解説したものです。ラテン語のちょっとした読解練習にもご利用いただけます。

• 「国家とは国民のものである」（『国家について』1.39）
• 「天界の音楽の模倣」（『国家について』6.18「スキーピオーの夢」）
• O tempora! O mores!（『カティリーナ弾劾』1.2）
• 「心を入れ替えよ」（キケロー『ピリッピカ』1.35より）
• 「言葉は真の人間性に固有である」『弁論家について』1.32
• 「閑暇の実り」『弁論家について』
• 「文学万歳」『アルキアース弁護』
• 「次の世代のために木を植える」 『老年について』24-25節
• 「暇のある老年にとって大切なものとは？」『老年について』49節
• 「老人は気むずかしいか」『老年について』65節
• 「死はなにものでもない」『老年について』66節
• 「人は与えられた時間に満足すべし」『老年について』69節
• 「人生を演じきる」『老年について』70節
• 「哲学をラテン語で語る意義について」『トゥスクルム荘対談』冒頭
• 「子曰わく」（『神々の本性について』1.5）

キケローのラテン語を読む

『国家について』第6巻は「スキーピオーの夢」と呼ばれます。この1巻すべてのラテン語の一字一句について、文法の説明を行い、逐語訳も添えました。文法を一通り終えた次のステップとしてお勧めです。

「ラテン語講習会」（オンライン授業）では現在「スキーピオーの夢」と『老年について』をゆっくり丁寧に読んでいます。途中参加歓迎です。

講習会では今まで、『アルキアース弁護』、『カティリーナ弾劾』（第1巻）を読みました。