Hanc tu exerce optimis in rebus!

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「ハンク・トゥー・エクセルケー・オプティミース・イン・レーブス」と読みます。
hancは指示代名詞hic,haec,hoc(これ、この)の女性・単数・対格です。「これを」と訳せます。ただし、原文(キケローの『スキーピオーの夢』)に照らすと、hanc vim animae(この魂の力を)と訳せることがわかります。
tuは2人称単数の人称代名詞、主格です。「あなたは」。原文では大アーフリカーヌスが義理の孫小スキーピオーに向かって発言しているので「おまえは」と訳すと自然です。
exerceは第2変化動詞 exerceo,-ere(用いる、利用する、発揮する)の命令法・能動態・現在、2人称単数です。hancが目的語です。
optimisは「最善の」を意味する第1・第2変化形容詞optimus,-a,-umの女性・複数・奪格です。rebusにかかります。
inは「<奪格>において」を意味する前置詞です。
rebusは「こと、もの」を意味する第5変化名詞 res,rei f.の複数・奪格です。
optimis in rebusを現代語の語順に直すと、in optimis rebusとなります。「最善の事柄において」と訳せますが、これも原文の文脈に照らすと、「最善の仕事において」と訳せることがわかります。
以上をまとめると、「これを――この魂の力を――おまえは最善の仕事において発揮せよ」と訳せます。
「最善の仕事において」という箇所は、「世のため人のために」と読み替えてもよいでしょう。
キケローの「スキーピオーの夢」29節に見られる表現です。

スキーピオーの夢

P.S.
この一文をめぐる個人的なエッセイがあります。>>「文学部で学んだこと―100年先の世界のために」

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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